第8回:ごきぶり « 個人を本気にさせる研修ならイコア

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パートナーコラム 紺野真理の「海軍におけるマネジメント」
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第8回:ごきぶり

※このコラムは、弊社代表紺野が海上自衛隊時代、艦隊勤務を本望として20年間生きてきた経験の中で見聞きしたことを書いたものです。10年以上前に、ある団体の機関紙に数回に分けて掲載されたものを、今回いくつかの加筆、修正をして掲載しているものです。記載内容の時代背景等、現在のものではないことを予めお断りしておきます。

ごきぶり

海軍のみならず海上自衛隊でも昔の艦には本当に驚くほどのごきぶりがいました。今の若い人には分からない話ですが、実際、ごきぶりの世界に人間さまが間借りさせていただいているようなものでした。

私が防大2年生の夏休み前の乗艦実習のことです。乗艦したのは、今はなき「あけぼの」という有名な真夏の超暖房護衛艦のことです。食堂の壁は、遠くから見ると薄いベージュ色をしているのですが、食堂以外の壁はみな白いクリーム色です。何故食堂だけ、と思いつつやや近づくと、縞のような水玉のような模様があり、なにやらそれが動いているのです。更に近づくと、何とたくさんの(数え切れない)ごきぶりが、壁を這いまわっているではありませんか。

さすがに、ごきぶりと聞いただけでうろたえる私としては、最初の昼食は満足に食べられなかったことを覚えています。しかし、人間の適応力というのはたいしたもので、以降、さほど苦にもならず毎食おいしく食べておりましたので、慣れとは怖いものです。それでも、壁際のテーブルにつくと、時々、食事を載せたトレイの中に、ごきぶりがえさを求めて飛び込んでくることがあり、これには参りました。私達実習員が食事を盛ったトレイを持って席が空くのを待っていると、古参の海曹(下士官)が気をきかせて立ち上がり席を譲ってくれるのです。この席がたいがい・・・窓際なんですよね。19歳の紅顔の美少年には断ることができず、意を決して食事にいどむわけです。

室温が常時35 36度の艦内で蒸し暑さだけが印象に残った実習でした。また、初めて護衛艦に乗せてもらった喜びもあり、これまであまり意識したことはありませんでしたが、もしかしたら、海曹の親切心ではなく、試されていたのかもしれない、とも思う今日このごろなのです。

▽次号では・・・▽

皆さん、いかがでしたか?楽しんで頂けましたか?

なんだか想像しただけで、ゾッとする光景ですね。さて、気を取り直して、次回は「艦の食事」をお送りします。

皆さん、是非お楽しみに・・・!

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